ニューヨークの破門事情

最近、知り合いの武術家が破門されまして、話しを聞くとシクシク泣いて
おりまして、まあしゃあないでえ、なんて気軽く云うえる雰囲気で
ございませんでした、かく言うワタクシも以前、アメリカ人の武術の
おっさんに、「もうお前の顔をみたくない、出て行け」と云われ
「望むところや」っと啖呵切った経験がございます、若気の至りで
ございます、事例を踏まえて解説していきましょう。

「破門」
“一般には師弟の縁を断ち、門弟を追放すること…….”

事例その1
その武術の生徒は新聞社のインタビューを受けたのでした、そして
その大手中国の新聞の活字を見た師博が激怒し、破門に至ったと
いうわけなのですが内容は他の流派をケチョンケチョンにけなし
我が流派は世界一的な記事だったらしいです。

自分が習っている武術が世界一と信じ精進するのは、すばらしいこと
だと思いますが、他の流派は時代遅れでアホやというのを公の場で
発表するということは、その生徒にあたる師博も紙面上で同意見と
(どんなに反対意見でも)他の人間から見出されると思われ、即刻破門という
処置はその師博の適切な判断だったのではないでしょうか、仮に
その生徒を保護するということはニューヨークの中国武術界
強いては世界の武術界を敵に回す恐れが
あるのです、お前は俺の愛弟子だから世界を敵にまわして頑張ろう
っというのは映画の世界だけであります、上の子供が今年大学に入る
という師博の実情を把握していれば今敵を増やすのは得策でないのは
一目瞭然なのです。

残念ながらその中国人の生徒はアメリカナイズされ過ぎ
民主主義というのは「何を発言してもゆるされ権利がある」
というのを「何を発言しても、その言葉に責任が発生しないと」
思ったのではないでしょうか、残念ながら浅はかでございます。
二十歳前後の人間なら、謝罪して弁明を述べて余地はあるでしょうが
40才前の人間ですから、まあ弁明の余地なしですな。

事例その2
上記は人の話しでございましたが、今回はワタクシのことごございます。
渡米する前にアメリカに付いて調べますにアメリカというのは率直に
自己の意見を述べないといけなく、日本文化の曖昧な箇所が
ないとたくさんのものの本に書いてありました、要は自己主張の国やと
それがアメリカ社会通念でありますが、保守的な考え方の多い武術家に
対応してなかったというのは、破門されたあとに気がつく次第でした。

話しは90年代終わり頃でございます、初めての演武の大会前にて
長拳の練習にいそしんでいた毎日でございました、そして大会が
終わり、引き続き長拳の練習をしてますと、ここの箇所が違うと
指摘するではないですか、その箇所というのは大会前に指摘され
修正した箇所だったのです。

タカシ「大会前に云ったことと違うやないか」

おっさん「いや、そんなことはない」

タカシ「なんでウソを教えたんや」

おっさん「いや、そんなことはない」

タカシ「進行方向が前に90度で今日は45度に変わった」

おっさん「そんなことは云ってない」

タカシ「お前は、二枚舌か」

おっさん「出て行け」

タカシ「望むところや」

と、渡米間もない頃のワタクシの直球イングリッシュの受け答えは
今思うにスリル感満点でございますが、大会の結果が悪かったのは
このおっさんが間違えて教えたからやと、当時は思った次第でして
若気の至りと云えばそれまでなのですが、「初めてのアメリカの生活」
等の参考書にてリベラル派の多いニューヨークでも自己主張を
通し切ると破門する恐れがあると一筆加えていただく事を思う
所存でございます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です