真夜中の用心棒


「男は黙って、三船敏郎」

寝そべって天井のしわを左から数えていきます、100以上数えても
ラチも空きません。だいたい用心棒といいましても来るかわかない
夜盗に備えての寝泊まりで、拳銃を持って来られたらこっちは白旗で
ございます、もちろん雇い主は拳銃での格闘を期待しているわけでなく
(期待していたら困りますが)柄のゴッツイ坊主のアジア人が家にいると
いうのを期待していると思われるわけで、要は「かかし」なのです。
夜中に「あれ〜」悲鳴などありませんで、高さの合わない枕に
四苦八苦しながら酒をあおって寝るのが仕事でございます。

そんなある日いつものように、用心棒で来ますと掛け布団がございません。
用心棒の相方(仮名、源太夫)に連絡しますと

タカシ「よお、掛け布団しらんけえ〜」

源太夫「持って帰えちゃった」

タカシ「お前なあ〜」

と源太夫が置いていった「人間交差点」を読みながら
「エエ話しや」っとそっと頰を濡らすのでした。

続く………

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