座長の気鬱

真夜中に電話がかかってきます、こんな時間に電話かけてくるのは
座長の加世田君しかおりません、切り口はだいたい2パターンです。

「いやあ〜、べつになんにも話すことないねんけどね」
「タカちゃん大変や、事件発生や」

の二つのパターンでございます、話の内容もだいたい同じで
役者が言うことを聞いてくれないのをどうやったら
いうことをきかすかっという問いに、自分はただ励ますのです。

さて、加世田座長は雇われ振り付け師でフィアデルフィアに公演に
行っておりまして、初日の真夜中に電話がかかってきました。

「タカちゃん大変や、事件発生や」

こちらの切り口でございました、っとだいたいお前はいつも大げさ
やからっと思いつつ聞いてみますと、準主役の女の子が怪我した
っとその子はウチのカンフークラスの生徒の子でもありまして
「足のじん帯を伸ばしたみたいで、明日の公演どうしょうか」っと
「う〜ん、しゃあない、師匠が頑張れ」っとあっさり即答します。
ほんでも女殺しやで、主人公と絡むのやでえ、ゲイの殺し屋に
なるがな、っと自分に言い聞かせるように述べる加世田君を尻目に
出来る人間はお前だけやがな、頑張れ、お前やったら出来るっと
励ましながら、やるやらんは別としてとりあえず準備だけしとけっと
ハッパをかけておきます。

さて、今日は二日目でしたけど、どうなったか心配ですな、怪我した
生徒の子はどうやろうか、これまた先生心配なのです。

ps.上の写真は加世田座長が何かの映画に出演したらしく、こちらに
メールきまして、話をよくよく聞きますと「タランティーノ」に
出来た映画を送るっていうことらしいですけど、一番の下の
おっちゃんも闘ったのでしょうか、チャイナタウンで買った安物の
模擬刀で手を切って血を流してたって云うてたけど。

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